物件と会社の調査を一緒に進める
| 確認する対象 | 主な情報 |
|---|---|
| 不動産 | 所在地・登記・賃貸状況・修繕履歴・管理体制 |
| 保有する会社 | 株主構成・決算書・借入・契約・担保・保証 |
| 譲渡・取得の条件 | 希望時期・価格・資金計画・引継ぎ後の関与 |
株式譲渡で変わること、変わらないこと
買い手が取得するのは、不動産を持つ会社の株式です。会社が不動産を保有し続けるため、物件の所有名義を移す取引とは費用や手続きが異なります。
| 項目 | 変わらないもの | 確認・手続きが必要なもの |
|---|---|---|
| 不動産の所有名義 | 会社名義のまま。所有する法人が変わらない単純な株式譲渡では、所有権移転登記は原則不要です。その株式取得だけを理由とする不動産取得税・所有権移転の登録免許税も通常生じません。 | 役員変更や担保の変更など、別の登記費用は生じることがあります。 |
| 賃貸借・管理の契約 | 契約の当事者である会社は存続します。 | 株主変更時の通知・同意や解約に関する条項があれば対応が必要です。賃貸借契約書と管理委託契約書を、契約相手ごとに点検します。 |
| 会社の借入 | 借主は同じ会社です。 | 融資の継続は自動的に認められるわけではありません。株主変更で事前承諾や一括返済を求める条項、代表者保証、担保の扱いを金融機関と協議します。 |
物件の調査だけでは足りない理由
株式を買うと、物件と一緒に会社の過去も引き継ぎます。物件の調査に加えて次の4点を確かめ、結果を価格・契約・決済の条件に反映します。
| 論点 | 起きうること・調べる範囲 | 取引への反映 |
|---|---|---|
| 簿外債務・保証・未払金 | 会社の債務は会社に残ります。決算書に表れていない保証、未払税金、訴訟、賃借人への敷金返還義務まで調査対象にします。 | 株式価格表明保証・補償 |
| 不動産の簿価と潜在的な税負担 | 株式の購入価格が、そのまま会社の不動産の税務上の簿価になるわけではありません。含み益を持つ物件を会社が将来売却したときの税負担は、株式価格の交渉要素になります。値引き率は一律ではありません。 | 株式価格 |
| 株主変更に関する契約条項 | チェンジ・オブ・コントロール条項は、支配株主の変更時の同意・通知・解除等を定める条項です。融資、賃貸借、管理、リースなどに含まれていないかを調べます。 | 決済の条件必要な同意の取得 |
| 売り手の表明保証と補償 | 株主・税務・契約などについて売り手が何を表明するか、事実と異なった場合の補償範囲・上限・期間を定めます。調査で判明した問題の開示と、契約上の扱いを対応させます。 | 最終契約補償範囲・上限・期間 |
一部の物件だけを対象にする場合
会社分割+株式譲渡という検討方法
他の事業や資産を残したい場合は、対象不動産に関する事業を会社分割で別会社へ移し、その株式を譲渡する方法も検討します。何を移すか、債権者への手続き、契約・許認可、融資の同意を設計する必要があります。
会社分割は、所有法人が変わらない単純な株式譲渡とは異なります。分割時の登記・課税と税制上の適格要件を別途検討するため、「不動産取得税や登記費用が必ず不要」「節税になる」とは限りません。
取引方法の検討ケース
以下は取得対象と調査論点を説明する例です。
賃貸マンション1棟を持つ会社
物件の想定時価3億円、会社の借入1億円。全株式の譲渡を検討するケースです。
株式価格の考え方
- 増える要素
- 現預金
- 減る要素
- 敷金の返還義務・簿外債務・含み益への税負担
差引き2億円を確定株価とはせず、現預金、敷金、簿外債務、含み益への税負担を加味します。レントロールと借入返済予定表から、取得後の資金収支も検討します。
複数物件のうち事務所ビル1棟
会社は他の物件と事業を残す意向。対象ビルに関する事業を別会社へ移す方法を検討するケースです。
| 項目 | 全株式の譲渡 | 会社分割+株式譲渡 |
|---|---|---|
| 譲渡する株式 | 既存の会社の株式 | 対象ビルの事業を移した会社の株式 |
| 移す範囲の設計 | 不要 | 何を移すかを決める |
| 債権者への手続き | — | 必要 |
| 敷金・契約・許認可 | 会社に残る(株主変更の条項を確認) | 移転の手続きと同意 |
| 融資 | 株主変更の条項に応じて協議 | 移す範囲に合わせて同意を設計 |
| 登記・課税 | 所有権移転登記は原則不要 | 分割時の登記・課税と適格要件を別途検討 |
会社分割の対象範囲、敷金・契約の移転、金融機関の同意、税務上の要件と費用を比較します。分割手続きが必要なため、既存会社の全株式譲渡とは日程も異なります。
物件一覧とレントロールから始める
売り手は物件一覧、賃料一覧表、決算書3期分、株主名簿、借入返済予定表を揃えると、検討対象を伝えやすくなります。買い手は地域・種別・予算と、自己資金・融資の見込みをお知らせください。
必要書類チェックリスト制度・手続きの参照資料
一般的な仕組みの説明です。実際の税務・契約判断は取引条件に即して行います。
価格と手取り額の考え方
不動産の価格と株式の価格は同じとは限りません。会社に現預金や借入、その他の資産・負債がある場合、それらを踏まえた検討が必要です。
条件を入力して概算を確認する買い手確認の基本方針
取引を進めるにあたり、買い手の情報や取得目的などを確認します。必要な確認事項・資料は、案件に応じて個別にご案内します。
当社と専門家の役割
当社はノンネームシートの作成、候補先との価格・資金条件の協議、調査の依頼リストと回答管理、決済までの日程調整を担当します。財務・税務・法務などの専門的な調査・判断は、各分野の専門家と確認しながら進めます。
当社の支援体制